逃亡防止の斤券制度
炭鉱では、そこでしか通用しない「斤券」が使われました。坑夫たちの賃金は、会社側の発行する斤券によって支払われ、坑夫たちはこの券をもって炭坑の購買所で日用品を手に入れました。本来この斤券は、本金と呼ばれた現金の裏付けがなければいけないのですが、会社側はそんなことをせず、紙に斤数を書いたものに、会社のハンコを押したものを発行していました。ですから炭坑がつぶれたり、坑主が逃げてしまうと斤券はただの紙切れとなりました。坑外では使えませんので、これは坑夫たちの逃亡防止の機能も果たしていたのです。