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イントロダクション introduction

 熱帯林に囲まれ「秘境」と呼ばれる西表島。島には人知れず眠る巨大な「炭鉱」があった。廃坑を無秩序に覆う緑、そこを住処とするイノシシの群れ、そして廃坑を見つめる90歳の老女ーー橋間良子。10歳で父に台湾から連れられ、人生のほとんどをこの島で過ごした彼女は、たった一人で誰もいない家を守る。
 眠れない夜には、島を出て音信不通となった子ども、炭鉱の暗い過去、父への問いかけーー忘れたくても捨てられない記憶たちが彼女を襲う。
 希望、怒り、不安、そして後悔ーー彼女が人生最期に放つ静かな輝きが、この一作に凝縮される。
 沖縄を拠点として活動する黄インイク監督が七年間の歳月を費やした渾身の一作『緑の牢獄』。本作は企画段階で既にベルリン国際映画祭、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭の企画部門に入選。前作『海の彼方』に続き、植民地時代の台湾から八重山諸島に移住した“越境者”たちとその現在を横断的に描く「狂山之海」シリーズの第二弾。

Iriomote Island

スタッフ staff profile

監督・プロデューサー:黄インイク

黄インイク(黃胤毓 / HUANG Yin-yu) 監督・プロデューサー

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1988年生まれ。台湾・台東市出身。沖縄在住。台湾・政治大学テレビ放送学科卒業、東京造形大学大学院映画専攻修了。大学時代からドキュメンタリーの自主制作を開始。短編作品:台湾の出稼ぎタイ人労働者を取材した『五谷王北街から台北へ』(2010)、セルフドキュメンタリー『夜の温度』(2013)、なら国際映画祭とジュネーブ芸術大学のコラボ企画「Grand Voyage」の1つとして『杣人』(2014)を発表。
2013年より植民地時代の台湾から八重山諸島に移住した“越境者”たちとその現在を横断的に描く「狂山之海」シリーズを企画。第一作『海の彼方』(2016)は日本と台湾で一般公開し、大阪アジアン映画祭、台北映画祭ほか、新藤兼人賞「プロデューサー賞」受賞。第二作『緑の牢獄』(2021)は企画段階から注目され、ベルリン国際映画祭、スイス・ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭などに入選し、日本、台湾とフランスでの一般公開を控える。
またプロデューサー活動により、チェコ・イフラヴァ国際ドキュメンタリー映画祭「新鋭プロデューサー2020」に台湾代表として選出。現在、沖縄と台湾を拠点に国際共同製作にも進出、「石垣島ゆがふ国際映画祭」ではプログラムディレクターも務めている。

共同プロデューサー(日本):山上徹二郎

山上徹二郎(やまがみ てつじろう) プロデューサー

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1954 年熊本県生まれ。1986 年に映画の製作 ・ 配給会社シグロを設立。1992年に東陽ー監督の『橋のない川』の製作を手掛け、毎日映画コンクール他数多くの賞を受賞。その後、東監督の全作品を製作『絵の中のぼくの村』(1996) でベルリン国際映画祭 ・ 銀熊賞など多数の映画賞受賞。またプロデューサーとして藤本賞特別賞受賞。『わたしのグランパ』(03) はモントリオール世界映画祭て最優秀アジア映画賞 、『風音』(2004) も同映画祭てイノベーション賞を受賞する。近年では『だれかの木琴』(2016/ 東陽一監督)、『蝶の眠り』(2018/ チョン・ジェウン監督)などの劇映画のほか、ドキュメンタリー映画を含めこれまで70 作品以上を企画 ・ 製作している。2015 年度日本映画ペンクラブ賞を受賞。

共同プロデューサー(フランス):アニー・オハヨン・デケル、ファヒッド・へッカラ

Farid Rezkallah(ファヒッド・へッカラ) プロデューサー

Annie Ohayon-Dekel(アニー・オハヨン・デケル) プロデューサー

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1988 年に製作会社「24images」を設立。現在に至るまで30年間にわたり数多くのドキュメンタリー作品を製作。映画作家のマクロな視点や感性を通して、社会的、文化的または環境的な現実の問題に挑む。山形国際ドキュメンタリー映画祭2015 インターナショナル・コンペティション部門で上映された、中国社会に翻弄される青年の姿を活写した『青年★趙』(2015)にフランス側として共同製作。2020年は日本と合作映画『Odoriko』(奥谷洋一郎監督)がアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭に入選。

撮影:中谷駿吾

中谷駿吾(Nakatani Shungo) 撮影

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東京造形大学デザイン学科映画専攻卒業。2014 年から黄インイク監督の「狂山之海」プロジェクトにカメラマンとして参加、2016年に黄監督と一緒に沖縄移住。2019年に「株式会社ムーリンプロダクション」を設立した際に、代表に就任。黄インイク監督作品の撮影担当、日本での制作をサポートしている。撮影作品は、2015 年田辺・弁慶映画祭で弁慶グランプリを受賞した柴野太朗監督の『モラトリアム ・ カットアップ』(2015)、黄インイク監督『海の彼方』(2016) などがある。

編集:Valérie Pico、何孟學、黄インイク

ヴァレヒエ・ピコ(Valérie Pico) プロデューサー

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フランスの編集技師。1995年からドキュメンタリー、映画、ドラマの編集を手掛ける。ドキュメンタリーの巨匠であるフレデリック・ワイズマンの『パリ・オペラ座のすべて』(2009)の編集を担当し、山形国際ドキュメンタリー映画祭2019 インターナショナル・コンペティション部門で上映された『インディアナ州モンロヴィア』(2018)にも参加。

音響効果:周震、李佳蓉、康銪倫

周震 (Chou Cheng) サウンドデザイナー

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2015年に台湾の映画サウンドデザイン、ミキシング会社「Seismic Sound Lab. Ltd.」を設立、多数の映画やドキュメンタリーに関わる。ミディ・ジー監督の数作品に関わり、2019年カンヌ映画祭に入選した『ニーナ・ウー』で台湾映画の最高賞である「金馬奨」音響効果賞を受賞。日台合作映画では『パラダイス・ネクスト』(2019)のサウンドデザインを担当。

音楽:トマ・フォゲンヌ

トマ・フォゲンヌ(Thomas Foguenne) 作曲家

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ベルギーの劇伴作曲家、芸術大学ARTS2 コンセルバトワール・モンスでクラシック音楽作曲の教授を担当。十年間ほどの台湾在住歴があり、多数の台湾映画やドラマ、インディペンデント映画の音楽を作曲。作品はロカルノ国際映画祭、釜山国際映画祭、台北映画祭などに入選。台湾ドラマ賞「金鐘奨」を二度受賞している。近年では日台合作映画『越年』(2019)でも音楽を担当。

コメント comments

何もない空間に、確かにある気配を映し撮る撮影者の息遣い
それは、過去や未来の時空を超えて、永遠となる。
老婆の顔に染み付いたシミの跡は、人生の軌跡

河瀨直美 (映画監督)

『緑の牢獄』を観終わってただちに思い出されたのは、溝口健二『山椒大夫』の結末部であった。歴史から追放され、置き去りにされた人たちが、歴史の証人となる。恐るべき緑のなかの、貴重な静寂である。

四方田犬彦 (映画誌・比較文学研究家)

その場所は、「緑の牢獄」と呼ばれた。あまりにも美しい森だが、過酷な作業環境で石炭を掘り、彼らの姿はいかにも哀れであった。そして肉体だけではなく、魂さえも囚われた。

ウェイ・ダーシェン/ 魏德聖 (映画監督)

鬱蒼と茂る森林、果てしなく広がる海原。陽射しが燦々と照りつける美しい秘境に隠されているのは、極東の島々に連なる暗い歴史。最後の証言者が世を去った後、それを記憶し、語り継ぐのはきっと、芸術の使命だと思う。

李琴峰 (作家・翻訳家)

西表に生きた台湾の同胞たち。石炭が光り輝いた時代に生きた彼らは、時代に取り残されたかもしれないが、「台湾」は確かに島に存在した。橋間おばあは、その生き証人。この貴重な記録映像は彼女の魂の声であり、見る者の心に、静かに、重く響き渡る。

一青妙 (作家・役者)

この映画は、過酷な土地の記憶を刻んだ記録であると同時に、「故郷」から切り離された人々の物語でもある。

安田菜津紀 (フォトジャーナリスト)

日本と台湾の中間地帯であり、炭鉱のある西表島で人生の大半を送った台湾出身者、橋間良子さん。流暢な台湾語と、少しどたどしい沖縄なまりの日本語。彼女の言葉は、その間をゆらゆらと行き来する。その不自然さこそ、西表島に取り残された「最後の台湾人」の存在を物語っている。故郷を失い、「緑の牢獄」の囚われ人になった彼女の運命は、幸福や不幸といった言葉では簡単に片付けられない。時代の流れに巻き込まれた漂流者の姿に私たち観客は視線を釘付けにされるはずだ。

野嶋剛 (ジャーナリスト)

完成に寄せて articles

西表炭鉱の残り火が消えた

三木健 (ジャーナリスト・『沖縄・西表炭坑史』著者)

 西表炭鉱の最後の残り火が消えた。生まれ故郷の台湾から、炭鉱労働者の管理人の養女として海を渡ってきた橋間良子(旧名・江氏緞)にとって、西表はやはり「緑の牢獄」であり、彼女はその犠牲者であった。戦後、「牢獄」から解き放たれた彼女に、もはや帰るべき故郷はなかった。

 年老いた彼女は、それでも台湾人としてのアイデンティティを失うまいとした。台湾語と日本語が、交互に出てくるつぶやき。自分はいったいどこの人間なのか。孤独の影が忍び寄る。台湾人の誇りを失うまいと腕に嵌めたヒスイの腕輪が、痛々しく揺れる。

 二人の子宝に恵まれながら、二人とも失った悲しみと悔しさ。孫のように若い台湾人の黄インイク監督のカメラ・アイは、そんな彼女に寄り添うかのように、そっと背中を追う。数年の歳月をかけて追い続けた92年の生涯に、台湾との深い関わりを刻んだ西表炭鉱の歴史が、炙り絵のごとくあぶり出される。橋間のおばあさんよ、せめてもの後生で息子たちに囲まれ、安らかに眠られんことを。

三木健(みきたけし) ジャーナリスト、「西表炭坑」研究の第一人者。 1940 年沖縄県石垣島生まれ、八重山高等学校、明治大学政経学部卒業。1965 年 琉球新報社に入社。93 年から98 年まで編集局長、06 年6 月まで琉球新報社取締役副社長を務める。また、ラジオ沖縄取締役会長、石垣市史編集委員、竹富町史 編集委員、沖縄県シーカヤッククラブ顧問などを務める。著書に『八重山近代民 衆史』、『沖縄 ・ 西表炭坑史』、『宮良長包- 沖縄音楽の先駆-』、『戦場の「ベビー!」 タッちゃんとオカァの沖縄戦』など多数。

河瀨直美 (映画監督)

作品の中盤に流れる、事実に基づいたフィクション。
カメラが捉える涙が溢れるほどの美しい光景のなかに、目を覆いたくなるような過去の非人道的現実が見え隠れするとき、私たちがなかったことにしている歴史が浮き彫りにされる。
そこに在る無念の魂の気配を、黄監督の眼差しは捉えて離さない。
死をこんなにも美しく
不在をこんなにも豊かに描ける作家がここにいる。

河瀨直美(かわせなおみ) 奈良県出身。97年、初の劇場映画『萌の朱雀』でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を27歳で史上最年少受賞。10年に自身の故郷、奈良で立ち上げた「なら国際映画祭」では、エグゼクティブディレクターとして後進の育成に力を入れ、これまでにプロデュースした作品は8作品にのぼる。近作には『朝が来る』(2019年)『Vision』(2018年)など。本年は東京2020オリンピック競技大会公式映画の監督を務める。